吹田市の小児科 (医)こどもクリニック北、乳児健診、予防接種、心臓外来。ブログ。

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夜間救急(動物編)

2010年05月30日
昨夜はある会に参加して夜遅くなってしまいました。で、今朝は少し朝寝坊。
いろいろ用事を済ませてお昼からお出かけしました。ずっと気になっていた映画を見に行ったのです。1年ぶりくらいじゃないかしら。

そんなことより、大変だったのは21時頃に自宅へ戻ってからです。愛息子をケージから外へ出そうとして・・・びっくり!ご飯食べていない!牧草も食べていない!○んちも出ていない! 何より、動かないんです! 出かけるまで問題なかったのに!

血の気が引きました。おそらく胃停滞。慌てて頭の隅っこにあった記憶を頼りに箕面市にある動物の救急病院へ電話をし、車で直行しました。到着したのが10時ちょっと前です。電話で状況は説明していたので、到着したらすぐに預かってくれてその間に問診票記入。呼ばれたのは30分ほどたった位だったでしょうか。体温が低く、循環が低下している様子なので、状況を調べるためにレントゲンと採血をします、と。

それからが長い長い・・・。なかなか夜間の救急をしている動物病院はありません。次々と人が訪れます。ほとんどが犬、まれに猫です。医師は2名、看護師は2-3名? 忙しそうに働いていらっしゃいます。最初は時々笑い声も聞こえてきましたので、急変したわけではないだろうと必死に思いながら待っていましたが、1時間を超えてくると不安になってきました。

途中、抱きかかえられて病院に入ってきたある犬は、ちらっと見ると素人目で見ても「あ、舌の色が悪い・・・」。すぐに中へ運ばれ、しばらくして飼い主が呼ばれ・・・しばらくしたら別のところから病院を出て、医師と看護師が外でお見送りしていました。亡くなられたのでしょうか。待ち時間が長くなるのも無理はないか。でも、それにしても長いなぁ。ウチの子はまだ「軽症」なのかなぁ、きっと後回しされたんだろうなぁ。でも、ウチの子もしんどいんだけどなぁ。

2時間近くたってようやく呼ばれ、検査結果の説明。血液データの項目は見慣れたモノですが、動物の正常値は全く分かりませんのであれこれつい聞いてしまいました。でも、レントゲンで拡大した胃袋は素人にもわかりました。胃停滞です。点滴で胃を動かす薬と抗生剤を入れると説明を受けたのですが、愛息子は大暴れしたらしく、かえって危険と判断され皮下注射に変更。処置を受けて会計までがまた長い長い(1つ追加で出された?検査結果が出るのに時間がかかったようです)。

病院を出たのは1時30分ころでした。愛息子は少し動くようになりましたが、私は何かの動物の毛にやられたのか目がかゆくて鼻水がずるっ。夫は眠くてうとうと。でも・・・夜間診察・レントゲン・採血・注射でぬわんと35800円!! ある程度覚悟はしていましたが完全に目が覚めました。処置料、人件費、そんなのを考えると仕方ない、でしょうか。これで愛息子が元気になってくれるのであれば・・・それにしても、いずれ親孝行の一つもして欲しくなりますね。

でも、夜間救急が大変なものであることは人間も動物も一緒ですね。「具合の悪い方を優性しますので長くお待ちいただくこともあります」という説明文、そりゃそうだと頭では分かっていてもそれでもさすがに1時間を超えるとそわそわイライラ。検査結果の説明を聞いていても、話が長くなると「もういいからさ、早く処置をして少しでも楽にしてあげてくれ〜」と言いたくなりました。

患者さん達の気持ち、何より親御さん達の気持ちが思い切り身にしみました。
今、31日の午前3時です。朝、起きれるかなぁ。
それより、もう少し愛息子の様子が気になって眠れないかも知れません。。。

おそるべし「しまじろう」

2010年05月28日
こども達の中で知らない人はいない、と断言出来るのがアンパンマンと・・・「しまじろう」です。

初めての出会いは・・・え?そういえば何年前でしょうか? 心臓やさんの世界に足を踏み入れて1-2年の間、まだ若かりし頃、心臓カテーテル検査のために入院してきた当時2-3歳の男の子が大事に抱えていたのです。シンケンジャーだかボウケンジャーだか、あのへんのシリーズによく見られるかっこいいポーズ「しゃきーん!」としながら小脇に抱えていたのがしまじろうでした。お母さんに伺って初めてその存在を知りました。

それからしばらくは出会うことはなかったのですが、こども達の間では密かに浸透していたのですね。時々持っているこどもを見かけていましたが、クリニックを開業して改めてそのメジャー化を実感です。どの子も「絶対」「必ず」知っているのです。

診察室にもしまじろうが一人います。看護師さんの一人が自分のこどものために偶然2つ手に入れたからと持ってきてくれたのです。別の看護師さんが「北しまじろう」と名前を書いてくれました。この名前がなかったらおそらく・・・あっという間に持ち去られていると思います。それほどの大人気です。

大泣きに泣いているこどもも看護師さんがしまじろうを片手にあやし始めるとかなりの確率で泣き声が小さくなります。おそるべし「しまじろう」。
しまちゃんにもモシモシしようね、と先に聴診器をしまじろうに当ててから診察すると怖がらない子もいます。おそるべし「しまじろう」。
診察が終わったとたんに「うちにもしまちゃんいるもん。うちのしまちゃんはね・・・」とおしゃべりが止まらない女の子も一人や二人ではありません(バージョンがいくつかあるそうですね)。お母さんとお話している時ずいぶんおとなしくしてくれている、と思ってふと見たら、ベッドの上にひいてあるバスタオルをしまじろうにやさしくかけたりおくるみのように包んであげたりしている姿もよく見かけます。おそるべし「しまじろう」。

他の動物ものやキャラクターものではなく、「しまじろう」なんです。そのゆるぎない地位を不動のものにしている理由は何なのでしょう。しまじろう特有の魅力はどこにあるのでしょうか。かわいらしいのは分かるのですが、かわいらしいキャラクターは星の数ほどあるはずです。なのにどうして?

おそるべし「しまじろう」
なぜに「しまじろう」・・・

健診でのおしゃべり

2010年05月27日
5月は学校健診の月です。これまで2つの小学校と1つの幼稚園へ健診に出かけましたが、今日はある小学校で結核対策についての話し合いがありました。健診でひっかかったこどもにどのように対策を取るか、という話し合いです。

私の担当している地域ではいつもほとんど結核疑いでひっかかるこどもはないそうで、今回もあっさり終了。あとの時間を学校の校長先生と保健の先生とのおしゃべりに費やしてしまいました。もちろん学校保健に関わることですが、予防接種の話とか、学校にクーラーがなくて大変とか、メタボ要注意とか・・・普段あまりおしゃべりをすることのない方たちなのでつい夢中になってお話してしまいました。学校の先生方はお忙しいはずなのに私ったら「ちょいとしゃべりすぎたぜ」とあとでちょっぴり反省です。

1つの学校に何人もの先生が学校医として登録されるシステムとなっている吹田市では学校と深くかかわることがとてもしにくいです。でも、せっかく学校医になったのだから何が小児科医として出来ることがないか、いろいろ話をしながら模索しています。今は健診の時に少し長めにおしゃべりをするだけですが、それでもいろいろな話題を提供することでほんの少しでも学校の先生方の記憶の隅っこに「予防接種かぁ・・・」「禁煙ねぇ・・・」というように残ればしめたものと思っています。

小さなことからこつこつと、ですね。何年かかることやら、ですが。

「お鼻しない?」「棒しない?」

2010年05月26日
最近、私はすっかりこども達の嫌われ者です。
「お鼻しない?」・・・鼻の吸引のことです。
「棒しない?」・・・のどを見るときの棒、舌圧子のことです。
この2つの言葉を毎日どれだけ聞いているでしょうか。

診察室に入ってきたとたんに「今日はお鼻しない?」
「その前に、最初はなんていうんだっけ?」
「えっと、おはようございます!」「おはようございます! えらいね〜、ちゃんと言え・・・」「今日はお鼻しない?」 とりあえず、もしもしさせてくれる?

「じゃあ、次はカバさんのお口ね。大きな声であーーっ!って言ってくれる?」
「棒いやだ〜!!」 いや、だからね、大きな声であーって言ってくれたら・・・「いや〜〜!!!」・・・

診察室へ入るなりお鼻を両手でふさぐこども達、舌圧子を見せたとたんにお口をふさいで大粒の涙を流すこども達。ごめんね、ごめんね。でも、大切なのよ。お鼻の中のばいきんまん、ポイして帰ろうよ〜。・・・説得もむなしくみんな号泣です。

私も自慢ではないですが、いえ、自慢できるほどですが、実は嘔吐反射がかなり強いタイプです。つまり、ちょっとしたことですぐ吐き気がします。歯ブラシでもそうですし、少し風邪を引いて痰がたまった時もそうです。以前受けたことのある胃カメラも、その管を胃へ入れるための「マウスピース」を口にくわえただけで吐き気、吐き気・・・検査を始めようと胃カメラを構えた若い女性医師が「まだ何もしていないのに〜。」と悲しそうな顔でつぶやいたのが今でも申し訳なくて。でも、だから、棒を見ただけで号泣するこどもの気持ちが「ものすごくものすごく!」分かるのです。

お鼻の吸引もそうです。小さい頃耳鼻科へずっと通っていましたから、もう嫌で嫌で。思わず反射的に先生を突き飛ばしたこともあります(今でも申し訳なく思っています)。でも、吸引をしてもらった後のスッキリ感は確実に感じていましたし、なによりその耳鼻科のおばちゃん先生がとってもきさくな感じで大好きでしたし。

「お鼻いや〜!」「棒いや〜!」
その叫び声を聞くたびに「ごめん! でも、とっても大事だし、楽になるはずだし。」と、心を鬼にして行っています。たくさんほめてあげることも忘れずに、ですが。

でも、ほんの少し救いなのが、「あーーっ!」と大きな声で言ってくれるようになった子で、ほんの少し舌圧子で舌を押さえても気持ち悪くならなくなり、結局その棒が平気になってくることがあるのです。全然棒を使わなくても大きな声で叫んでくれるだけでとても良く見えるようになった子もいます。今日も、大声で必死に叫んでくれている時にほんのちょっと使って見たら全然平気だったようで「ほんのちょっとならその棒を使ってもいいよ」と許可を得ることが出来た子もいました。みんなすごいな、私より大人だ・・・。

つらさはとても分かります。とってもよく分かります。
でも、ほんのちょっぴりだけ、がんばってね。
一日でも早く元気になってもらうために。



心が痛む話・・・口蹄疫

2010年05月25日
ここのところなんだかずっと気になっているニュースが口蹄疫関連です。感染拡大を防ぐためにたくさんの牛・豚等を殺処分しなければならないとのこと。人間の都合で狭い場所で飼育され、感染が広がり、そしてさらなる拡大を防ぐためにと10km圏内にいる牛・豚達はすべて殺される・・・。目を覆いたくなる事態です。

その殺処分は獣医師が行わなければならない決まりになっているそうですね。動物達を愛するがゆえに獣医師という仕事を選んだでしょうに・・・もし私が獣医師だったら、と思うと身震いするほど辛くなります。もちろん獣医師というのは食用とされる動物ももともと対象になっていますので、命への思いは同じであっても私達医師との気持ちの構え方が異なるところはあるかも知れません。でも、それでも、今回の何万頭にも及ぶ殺処分は心重く、辛い仕事だと思います。そして、畜産農家の人たちの「断腸の思い」という言葉も本当に重い・・・。

2年前から人生の中で初めて動物(愛息子!)を飼い始めるようになってから、不思議と動物関連のものにとても興味を抱くようになり、ずいぶん視野が広くなったように思います。彼と過ごすようになってどれだけ自分の気持ちがいやされ救われたことか。小さな命を育てていく、そんな親心も彼に教えてもらいました。私にとってはなくてはならない大切な大切な存在です。でも、愛くるしい彼らも限りある命です。寿命はもともと私達より短い動物なので、いずれ彼の病気・老い、そして死を私は経験しなければなりません。普段は考えないようにしているのですが、今回の口蹄疫の関連ニュースを見るたびに愛息子とのいずれ来る別離を想像してしまい、とても辛い思いに駆られています。

今回現場で辛い思いをされている人達。どうかその思いがこれからへの希望につながりますように。そしてやむなく処分されてしまった動物達も、どうかやすらかに。そして彼らがこの世に生まれてきたことを決して無駄にしないように、私達も辛い教訓として必ず次につなげていかなければなりませんね。

「危機管理の重要性」という視点、「命の尊さ」という視点・・・私も何らかの形で彼らの命を無駄にしないように、気持ちを引き締めていろいろ考え直すきっかけにしたいと思っています。

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